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江口 敬  /  EGUCHI Takashi

Beyond

2010.12.

"Beyond"という単語には、「〜の向こう側へ」、「〜を越えて」という意味とともに、 「彼方」あるいは「超経験的世界」という意味があります。

わたしは、日常生活のすぐとなりに存在しながら、敢えて見ようとしなければ 感受することのできない非日常の陰影と色彩を写真に捉えたいと考え、撮影を続けています。

そのことを言葉を換えて表現するなら、「行って、帰る」ことだと言えます。

すなわち、心を奪われた被写体にカメラを向けるたびに、いま自分が居るこの場所から 別の価値基準が支配する世界へほんの一瞬だけ越境し、そしてまた、帰って来るのです。

撮影した写真と一緒に。

 

思うに、わたしにとってカメラとは、意識を覚醒させてくれる「旅のチケット」の ような存在です。旅のさなかに写し撮られた幻想は、現実の世界で生まれ変わり、 "Beyond"の記憶として定着され、再び「向こう側」の世界へとわたしを誘います。

その繰り返しこそが、わたしが写真を撮り続ける原動力であり、 また、写真が多くの人々を魅了する根源ではないと思うのです。

○作品仕様

 

プリント:アーカイバル・インクジェット・プリント
印画紙種類:ピクトラン 局紙

      エプソン フォト光沢紙(絹目調)
印画紙サイズ:A4、A3、B2
作品点数:20点

風渡ル組曲

2012.4.

昨年カロス・ギャラリーにて開催した個展『Beyond』以降、写真を通して「日常のとなりにある、非日常の美しさ」を見出したいという私のテーマは、いよいよ表現の森の奥深くへと分け入りつつあります。 2度目の個展に当たる今回の展示では、主に自然の花々や草木を題材としながら、被写体の背後に隠された超現実的な美の世界を追求しています。それはまた、生命がその奥深くに秘める輝きや再生の息吹へのオマージュでもあります。


刻々と移り変わる陽の光や草原を吹き渡る風を前にしたとき、人の胸中に去来する色鮮やかな感覚。まるで喉を伝って落ちる冷たい湧き水のようにリアルに感じ取れる何ものか。


それらのものこそが、私が写真によってすくい取り、叶うならばそっくりそのまま誰かの手に手渡したいと願う一瞬であり、同時に、繰り返しシャッターを切らせる衝動の源なのです。

なお、今回の個展は、今年2月に福島市内で開催し好評を博した同名の展示に、新たな作品を加えて開催するものです。


震災から一年を経て、新たな一歩を踏み出そうとする人々の心に、写真による表現活動がわずかでも追い風となることを祈って止みません。

○作品仕様

 

プリント:アーカイバル・インクジェット・プリント
印画紙種類:ハーネミューレ フォトラグ
印画紙サイズ:A3ノビ
作品点数:12点

プロフィール

1972年 東京都生まれ。
独学で写真を学び、2008年から発表活動を始める。
世界と人の内面とが響き合う様を、鮮烈で透明感に溢れた光と色で表現している。
福島県福島市在住。

Kalos Gallery(仙台市)や銀座リコーフォトギャラリーRING CUBE等で写真展を多数開催。


オフィシャルWebサイト eguchitakashi-web

主な出展、作品展

2008年
北海道東川町国際写真フェスティバル
「インディペンデンス展」及び「ストリートフォトギャラリー」に出展

2009年
早坂智也氏と「十月の共謀/絵と写真の二人展」を開催  福島テルサ (福島市)

2010年
公募写真展 ”Sha-gaku”に出展   Kalos Gallery  (仙台市)

「NEXT GENARATION」展に出展  銀座リコーフォトギャラリーRING CUBE  (東京)

個展「Beyond」を開催  Kalos Gallery  (仙台市)

2011年
「御苗場 vol.9 関西」リコーRING CUBEブースに出展   海岸通ギャラリー・CASO (大阪市)

企画展「Gallery Selection 2011」に出展   Kalos Gallery  (仙台市)

2012年
個展「風渡ル組曲」を開催  珈琲 楓舎(風花画廊内) (福島市)

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