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清信 一芳 /  KIYONOBU Kazuyoshi

 かげを、いろどる

2013.10.

目の前に広がる現実の世界には、当然のことながら目に見える境界線や目印は存在しない。

境界がないのはどこまでも自由のように思うけれど、放り出された自由は不自由にほかならない。

迷いながら少し気を緩めてしまうとどこか流されてしまう気がする。

流されてしまうのは気楽さと少しの甘美さを伴う不安定な心地さがあって、気づけば自分の足元がよく見えなくなることもある。

写真をすることは見なきゃいけない現実と自分を向かい合わせる窓であり鏡だ。

切り取った風景は境界を持ち、単純化されて、あまりの広さに湧き上がる不安や曖昧さや危うさをもシンプルにしてくれるように思う。

そこには今を、過去を、向かい合ってありのままに受け入れるきっかけがあるような気がする。

はっきりしていなくても、まだぼんやりしていても、その現実にカメラを向け続けることが

自分と自分を取り囲む世界の交差点となって、肯定できるようになるための必要な作業のように思う。

 

この個展はその最初の足跡です。

○作品仕様

 

プリント:アーカイバル・インクジェット・プリント
印画紙種類:エプソン UltraSmooth Fine Art Paper

                                           プロフェッショナルフォトペーパー 微光沢
印画紙サイズ:B2、A3ノビ
作品点数:23点

呼吸

2015.3.

当たり前のことはつい見過ごしてしまう。
なぜかそれがずっと続くものだと多くは無条件に勘違いしてしまう。
本当はそんなことがないことは知っているはずなのに、
あえて気づかないふりをするかのように。

例えば、時間は無限に回り続けるような円ではなく、一方通行の線だ。
円だと始まりも終わりもなく無限に回り続けるように感じる。
しかも、人生には必ず始まりがあって終わりがある。
ほんの1秒でも過去に戻ることは、どんなに神様に願ったとしても誰にも許されることはない。
まるで暴力的な波に押し流されてでもいるかのようだ。
人はいつかみんなに見送られ、生活のにおいは遺跡のようになっていく。
それなのに、こんなシンプルなルールさえも普段はさほど意識することはない。

本当に大切なものは、何も変わらないように見える日常の中にこそ潜んでいるのだと思う。

このまるで繰り返されているような毎日の中で
見えないものを視ようとするように、聞こえない音を聴こうとするように。
私は目を凝らし、耳を澄ませる。

心臓の音が聴こえる。

○作品仕様

 

プリント:アーカイバル・インクジェット・プリント
印画紙種類:ピクトラン バライタ

      ピクトリコ GEKKO シルバーラベル
印画紙サイズ:B1、B2、A1、A3
作品点数:24点

プロフィール

1974年 福島県生まれ。
2009年 衝動的に一眼レフカメラを購入し、そこから写真を撮り始める。
2010年 カロス・ギャラリーと出会ったことで写真との向き合い方が変わる。
2011年 グループ展「Sha-gaku vol.2」にて初出展

現在は、地元である南相馬市を拠点に仕事と写真作品の制作に取り組んでいる。

主な出展、作品展

2011年1月

Sha-gaku vol.2
2011年7月

Love and Joy
2012年2月

Story vol.3企画“2011” 清信一芳∞小田紗優美二人展
2013年3月

個展「かげを、いろどる」
2014年9月

Sha-gaku vol.8

その他多数の出展歴有り、形式は二人展、個展のほかはグループ展
会場はいずれもカロス・ギャラリー

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