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清信一芳 / KIYONOBU Kazuyoshi

PURE ．．．- One Heart -

Sha-gaku vol.2 / 2011.1.

ただ、そこに在るだけで美しいもの。
ただ、そこに在る美しさ・・・

その美しさは、愛おしさやせつなさ、脆さや危うさ
そんなエッセンスを包み込んでいると思います。
むしろ、余分なものが削り取られていき
それらがひかりだす瞬間に
美しさを感じるのかもしれません。

その一瞬を、四角い枠の中に閉じ込めることができたら・・・
そんな想像と祈りにも似た気持ちが
シャッターを切らせていると思います。

○作品仕様

プリント：インクジェット・プリント
印画紙種類：エプソン　フォト光沢紙　
印画紙サイズ：Ａ3

作品点数：6点

僕らの日常は素敵なモノに囲まれている

Love and Joy / 2011.7.

いつもの見慣れた景色の中に、あやふやで儚いけれど
胸にそっとしまいこみたくなる瞬間が、ある。
それは僕らの、留まることのない時間の流れに色をつけるモノ。
気持ちが和いでいくような空間。

『愛しさ』とか『美しさ』とか。
そこにあるのはたぶん、言葉にするとそういうものだと思う。

深く広がる緑色した2月の静かな海に。
ふと何気なく仰ぎ見た空の上に。
あるいは、夜の闇に差し込むやわらかな光の中に。

そして、僕らがここにいることも、きっと同じものでつながっている。

○作品仕様

プリント：インクジェット・プリント
印画紙種類：ピクトリコプロ　セミグロスペーパー　

　　　　　　エプソン　プロフェッショナルペーパー　半光沢
印画紙サイズ：B2、A3

作品点数：12点

週末の虹

清信一芳∞小田紗優美　二人展 / 2012.2.

2011年
あの日を境にこれまでのような気持ちで写真を撮ることができなくなっていた。
しばらくして、休みの日には少しずつまたカメラを持ち始めるようになる。
撮れなくても何故か写真を止めるという選択はしなかった。
そして、時間が一年というひとつの区切りをつけようとしていたころ
とりとめのないいくつものイメージに気づかされる。

「光のあたたかさ」
そんな当たり前のことだった。

光を肌に感じたときの優しく包まれるようなあたたかさは
私たちが生まれた瞬間から感じてきたものだ。
日常は前触れもなく、ある瞬間に当たり前ではなくなるけれど
光はいつでも変わらずそこに在って
私たちはどんなときも、その温度を感じることを許されている。

それは私自身にとっても、生きているという証しであり
いくつもシャッターを切った理由だったのだと今はわかる。
いつのときか、この温度が誰かにも届けばいいと祈っている。

○作品仕様

プリント：インクジェット・プリント
印画紙種類：ミュゼオピクトリコ　WASHI無地

　　　　　　　　　　　　　　　　ナチュラルコットンペーパー　
印画紙サイズ：A1、Ａ3ノビ

作品点数：18点

メディウム

Love and Joy again / 2012.7.

心を掴まれる何気ない空間が好きです。

そんな場所にカメラを向けてファインダーを覗いたとき、自分が世界の一部になって
そのときの感情とか大切なものが溶け出していくような気がします。
シャッターを切るとき、溶け出したものが濃くなったり反対に薄まったり、
透明になったりしたものをまた吸い込んでいるような感覚になります。

時間の流れの中で自分や誰かの何かが溶けて入り混じって、
別の形になったり離れたり色や形が変化し続けている境界線のない世界。

そんなことを考えると僕たちの周りは写真に撮りたくなる瞬間に溢れていると感じるのです。
そしてそんな瞬間を写したものが誰かの心や記憶を揺らすような一枚になったらと想いながら、
写真を撮っています。

○作品仕様

プリント：インクジェット・プリント
印画紙種類：ピクトリコ　GEKKO シルバーラベル
印画紙サイズ：A1、A2

作品点数：6点

白日のまどろみの中

Sha-gaku vol.7 Act-2 / 2014.3.

自分の想像力と知覚を信じ疑う。
ひとつを信じればすべてがわかったようでもあり
ひとつを疑えばすべてが疑わしく思える。
とても厄介で扱いづらい。
しかし、それを放棄することはできない。
想像力と知覚を信じようが疑おうが失う訳にはいかないのだ。

あの日の事

モノクロームの世界 / 2013.9.

○作品仕様

プリント：アーカイバル・インクジェット・プリント
印画紙種類：ピクトラン局紙　
印画紙サイズ：A3

作品点数：8点

○作品仕様

プリント：インクジェット・プリント
印画紙種類：エプソン　クリスピア　
印画紙サイズ：A3

作品点数：9点

KALEIDOSCOPE

Sha-gaku vol.8 / 2014.9.

世界の見方は一つとは限らない。
時間や空間、感情で見えるものが違っていてもいいのです。

私はレンズを通して現実に在るモノを写真にする。
それは少し違う意味を帯びる。
あなたがその写真を目にしたときに
あなたの世界に入り込む。

溢れる色はいくつもある鍵、断面の一つ。
写真は形を変える結晶の一つ。

○作品仕様

プリント：アーカイバル・インクジェット・プリント
印画紙種類：エプソン　Velvet Fine Art Paper　
印画紙サイズ：A3ノビ

作品点数：8点

紡ぐ

Sha-gaku vol.8 / 2015.6.

ぽろぽろと人が正月飾りやお札などを持ってやってくる。
行列にはならないが、気づけばそれは山ほどになっている。
たいがいの人たちは、持ってきたものをお願いした後には
忙しく家路につく。

時間になるとご祈祷が始まり火がつけられ大きな火柱となる。
それらは事務局の人、消防団員や警察、神主たちの手によって
煙とともに厳かに天に帰されていく。

淡々と進行する祭りと、何か僅かにずれているような違和感。

例えそんなものがあったとして、人々は何かを紡ぐのだろう。
そうしてきっとこれからも、祭りは続いていくのだろう。